常野雄次郎さんを悼む/佐々木賢

常野雄次郎さんを悼む

 

私はあなたにお会いしたことがありません。山下耕平さんから送られてきた「不登校50年証言プロジェクト」を読んで、この人に会って話をしたいと思い、病院に行きましたが、看護師さんに「その方は昨晩、亡くなられました」と告げられました。残念でした。

 

昨今、学校を疑う人々は比較的多くなりましたが、教育を疑う人はまだまだ少ない状況です。そのなかで、あなたはご自分の体験を踏まえて、支配的価値観である教育を疑いつつ、自分で学ぶことを選びました。これは重要なことです。近代に始まった教育資格や学歴やプログラム化された予定調和的なシラバスに従うのではなく、可変的で柔軟で自由な空間で、対話し、遊び、出来事を楽しみながら生きようとしました。

 

生身の人間が消費社会のなかで家畜のように「生きて」いるので、あなたはさぞ住みにくかったでしょう。これからは安らかに眠ってください。

 

2018年4月16日 佐々木賢